或る令嬢の日記帳

――少しだけ、道を見失う。

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2006-05-12 [ Fri ]
19.濡れる


 息が、上がる。

 お互いに視線が交わり、僕の背筋は、既に汗にまみれていて。

 予想外のタイミングだったからか、僕の目には焦りが浮かべられていたのだろう。

「そんな目で見ないでよ――」

 絡み合った、目と目。

 相手の照れている口調に、僕は思わず目を閉じてしまう。


「あぁんっ!」


 あげられた声に、思わず背筋が総毛だった。

「……くっ」

 竿を構えると、僕は一気に突き始める。

 しばし互いの身体を交差させていると、段々と相手の動きが鈍くなってきて。

 その間、幾度もお互いの身体に飛沫が飛び散る。

 汗や体液――それら心地よいはずの、ないものが。

 どうして、こうも……。

 こんなにも――。























「来るなー! 帰れー! 死ねー!」

 叫びと共に繰り出された竿の一撃。

 ――毒百足は倒れ、後には毒液を全身に浴びた僕だけが、立ち尽くす。

「うぅ……また、洗濯しなきゃなぁ」

 というかむしろ、先に身体を洗わなきゃ――。

 竿を咄嗟に振り回した際に落ちた洗濯物を拾いながら、自身の身を見下ろしこぼしたぼやきは、我ながら実に物悲しいわけで。


「母さん――」



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ところで挿絵を書いていただけています(=▽=

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